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国やぶれて田中あり

田中兄弟社の兄です

アクア田中ス

 ノーブランドの粗末なギターケースを揺れる扉にたてかけ、ぼかぼかのスヌードを首にまかずに頭にひっかぶり、由愛可奈さん(大ファンです)に似たかんじの売り子さんから187mlで490円もするワインを購入。
 1mlあたりの価格、サイゼリヤ「マグナム」の実に3.6倍。ありがたくいただいて、デッキの端にすわりこみます。
 新幹線はデッキが一番贅沢な空間なのです。ゴミ箱やトイレに隣接していない箇所を選べば、事実上の個室になることがほとんど。
 空調はあまりききませんが、たえられないほどの冷え込みではありません。身体をまるめれば、こころよい冬の風情。
 フーと葡萄の息をつくと、稜線のむこうに夢の切っ先がみえます。
 しあわせなひとり旅です。ねすごしませんように。

 闇のなかで電車が減速。静岡県内に停車する予定はありません。夢か?
 やがて列車はとまり、照明がよわくなりました。
 関東で地震があったため、停電したとの由。
 五年前の恐怖がよぎります。

 みなさんごきげんよう。田中兄弟の兄、カルノフの従兄弟です。
 このブログは戦う人間発電所と戦う、謹慎ブログです。

 今年。思春期の私に最もふかく影響をあたえたバンドのメンバーの過半数がいちどに鬼籍にはいってしまいました。
 エマーソン・レイク&パーマー。一年のうちにキースにつづいて、グレッグまでも。
 酒の席では「まだ間に合う」などという声もきかれますが、意味がわからないし、そういうことをいってはいけない。

 エマーソン・レイク&パーマーとは何だったでしょうか。
 矢継ぎばやに繰り出されるロック・クラシック・ジャズのイディオム。痛烈でみずみずしいシンセサイザー・サウンド。
 それらのきらきらしいタグは音楽史におおきく記されてしかるべきでしょう。
 しかし、私にとってそれらはさほど重要なこととはおもわれません。
 カネや座学で手にはいるアクセサリーを纏っても、私たちは彼らのスピードにはおいつけませんでした。

 彼らの音楽のキモは、「正しさ」に媚びない、瞬間瞬間の呼吸に正直でありつづけたサグくて鋭利なアンサンブル。
 そして、猛り狂うヘヴィな音像にすら一貫していたキース・エマーソンの透明感にこそありました。

 キース・エマーソン。なんという男でしょう。あんなロッカーはもう絶対にあらわれません。
 その最期はあまりにも、あまりにもかなしかった。
 しかし、あれだけの男がみずからえらんだ死を、誰がとめられたでしょうか。運命です。
 そうであっても。私のかなしみが癒えることは決してないでしょう。
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 五年前のことを思うと、惨状や混乱と同時に、このあたたかい小品がよみがえりもします。
 キース、あなたのことは私が一生忘れません。
 あなたの祖国になにかあったら、「グレートブリ出る国へ」という曲を捧げます。
 あなたの祖国に安寧のみがあることをねがってやみません。

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