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国やぶれて田中あり

田中兄弟社の兄です

田中じゃないもん!

 「しばさきこうのメールがしつこい」
 そうがいうのです。
 「しばさきこう……? しば!? 柴咲コウか!? KOH+か!?」
 メールがしつこい女にカラまれるのはの得意技ではありますが、いくらなんでも柴咲コウさんはビッグネームすぎるし、タイムリーすぎます。
 「いやあ。僕普通にこまってるんだよね」
 がいうには、柴咲さんは一線で活躍する美人女優、でありすぎるがゆえ、よもや自分のような人間にすげなくされるなどとは露ほどもおもっておらず、その迫り方が人道を外れている、というのです。
 要するに、実情から方便までありとあらゆる言辞を弄しておことわりもうしあげてもきく耳をもたない、とのことでした。
 私とて、弟のような人間が柴咲さんに想われたあげく、袖にしようとしているときいてチョベリバなお気持ちがにじみでたものになり、気分はすっかり生前退位です。
 しかし、このままではバンド活動に支障をきたす、と泣きつかれたので、しかたなく代わりに柴咲さんにお会いして話をつけることにしました。

 会見の場所として、北関東のとある牧場のはずれが指定されました。大河ドラマのロケ現場なんだそうです。に車で送らせました。
 せっかく長年あこがれてきた柴咲さんに会えるというのに、ミーハーきぶんやワンチャンごこちは不思議とわいてきませんでした。
 どんなに魅力的な美女であっても、にしつこくメールをしてくる女性、というタグをつけてみると、もうだいなしです。

 まちあわせ場所にみしらぬ私がひとりでいるのを認めた柴咲さんは、困惑していました。本人との逢瀬だとしんじこんでいたのです。
 「誰? 何?」
 「あーはじめまして。田中の兄の田中です。の代理できました」
 さすがの柴咲さんもなにかを悟ったようで、それでもキッと私をねめつけてきました。
 「あー、柴咲さんねえ。はそういう人間じゃないっすから。他の男はそうだったかもしんないんですけど、ゲーノージンだからどうとか柴咲コウだからこうとかそゆのないですから」
 柴咲さんは黙ったまま下くちびるをかんでいます。
 今をときめく大女優、絶世の美女のプライドが、私の言説により眼の前で傷つけられています。ゾクゾクしてきました。
 と同時に、弟がよわりはてていることなど些細なことにおもえてきました。
 「でもねえ、柴咲さん。恋愛ってそういうもんなんじゃないですか
 柴咲さんが怪訝そうに私をみます。
 「手のとどくところのものを簡単につかむなんて、そんなの恋じゃないっすよ」
 私は、柴咲さんの目をまっすぐに見すえると、ひとさし指を天に向けました。
 「アゲアゲでいきましょうよ」
 女優柴咲コウの仮面がはがれて、女性柴咲コウの素顔をみせていた柴咲さんでしたが、この言葉で完全におんな城主直虎の顔になりました。

 会見はそれでおわりでした。
 車に戻ると私は、したり顔で弟に顛末を報告しました。
 「これからはひとりの女性としての柴咲さんとむきあってほしい。彼女の気持ちをま正面からうけとめてあげてほしい」
 「ふざけんな」

 そこらあたりで目がさめました。
 新年早々、景気のいい夢でした。

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 リハはじめは、3声のコードひとつおぼえるのに5分間かかったりプリアンプがつかいこなせずギターの音量がさがらないので「そっちおおきくしてくれ」とベースアンプの音量をあげてもらったりと、課題も山積ですが、たのしめました。
 そろってカレー屋(うまいので店の名は教えません)に寄って、ベースの田中ならざる者に当ブログを宣伝したりしました。
 そのあとは田中ならざる者といれかわりでパツキンパーソンが乱入して、金麦(大)とキャベツ盛りがみだれとび、最期は華々しく手もみラーメンに散りました。

 とりあえずもうちょい寝るわ。