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国やぶれて田中あり

田中兄弟社の兄です

ポ田中GO

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 ポコマン、ゲットだぜ! 後生です、訴えないでください。

 名高い作品の舞台にもなった池袋西口公園は、私と弟が根城にしているアウトドアスポットでもありました。
 田中一門の野外活動。それは薪割りと飲酒をおいてほかにありません。
 そのうち、池袋西口公園でできるものといえば、おのずとかぎられてきます。あそこで斧ふりまわしてたら30秒で警察とんでくる。

 私たちはそこで般若湯の類をたしなみながら、ストリートミュージシャンの悪口をいったり、ストリートミュージシャンの悪口をいったり、ストリートミュージシャンの悪口をいったりしました。めのまえでモテている人間がゆるせないのです。
 しかるにかれらは、ミュージシャン特有のするどい聴力でもって私たちの罵詈雑言を察知して楽器でなぐりかかってくる、というようなこともなければ、「ジャムろうぜ」などと人として致命的にふみはずしたノリでコミュニケーションをはかってくる、ということも一切なく、ようするに公園の逆サイ、闇のなかでストロングゼロ片手にしょぼくれている野郎どもなどには目もくれないのでした。
 そこにかれらと私の、ひとつの消極的な共生のかたちがありました。
 それはまさにTOKYO的で、池袋のしけた夜空ににつかわしいありようなのでした。

 かれらと私たちのすこしいびつな安穏は、しかし、ながくはつづきませんでした。
 Niantic社とThe Pokémon Companyという悪の結社により、アル中のホームレスのねぐらはふみにじられ、完膚なきまでに破壊しつくされることになるのです。

 そのとき、私たちはひとつのうつくしい日々のおわりをみました。
 公園をうめつくす人、人、人。みなスマートフォンをにらんでいます。
 ポケモン狩りです。

 当然、ベンチに私たちの席などのこされてはいません。
 一方、ストリートミュージシャンの連中はどうでしょうか。
 かれらはポケモントレーナーの集団にむけて、たくましく演奏活動をつづけていました。にわかに客がふえて、むしろかれらの瞳はいきいきとかがやいていました。
 弟と私はどんよりとにごった視線でもってそれを一瞥すると、人波をわけ、舌打ちをし、またちいさく悪態もつきながら、おいやられるべきところへとおいやられたのでした。

 あの屈辱的な敗北の夜から、どれほどの月日がたったでしょう。

 つい先日、西口公園を通りかかりました。
 この日付からだと未来にあたるかもしれないのですが、西口公園では古書市がたっていました。
 しかしそこに人影はすくなく、それぞれの本をあいするわずかな数のおだやかな人たちが、ゆっくりとめぐりあるいているのみなのでした。

 西口公園に平和がもどったのです。

 世界中を席巻し、いたましい事故をいくつも生じせしめるまでにいたりながらも、そのブームはゆっくりと収束していったようなのでした。

 私たちは一種の感慨にひたりました。
 諸行無常の響きあり。たけきモンもついにはほろびぬ。

 ところで、おくればせながら携帯端末にポケモンGOをインストールしました。
 こんなおもしろいもんねえな。

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