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国やぶれて田中あり

田中兄弟社の兄です

We're Living in Our Own 田中

 排泄物ネタおくちなおしのためのEWF特集、後編です。いちいちこうやって断り書きいれてたらまったくくちなおしにならねえ。

 ファンには「事件」として記憶されている一枚、「Electric Universe」です。

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 このアルバムでEWFサウンドの要とされていたホーン隊が突如としてクビになりました。
 あいてしまった上モノの穴を埋めたのはきらびやかなポリフォニック・シンセです。またシンセドラム・シンセベースも大々的に導入されました。
 結果としてそのサウンド・アンサンブルの質感は前作までとまったく異なったものになりました。
 モーリスの指揮による同時代への果敢なアプローチで、その試みは結果の如何にかかわらずそれ自体評価に値するとおもいます。しかし、この大々的かつ唐突な方針転換についていけず、はなれていったファンもすくなくなかったようです。

 お聴きのとおりなのですが、このアルバム、EWFのどの時代にもない独特のグルーヴをもっています。
 たしかに電子楽器主体のオケです。しかし、たとえば練られていない生楽器の演奏というものがあったとして、それよりはるかに「物性」の感触のあるアンサンブルです。弾性や粘性がひじょうにつよい。
 シンセドラム、このスネアに不思議なタメがあります。手弾きされたシンセベースとベースギターのコンビネーションもよれとうねりをうみだしています。
 その上にリリカルなシンセサイザーと、彼らのすべてのキャリアを俯瞰してもなお相当に緻密で繊細であるといえるコーラスワークがのっていきます。
 作家陣のこの新機軸にかける気合がうかがえますが、佳曲揃いでもあります。

 なんかこれ割といろんなところで黒歴史みたいなあつかいうけてるんですけど、とってもすきです。
 教養のために必要な盤ではないかもしれないのですが、おひまな方はいちど聴いてみてください。無教養なので教養のことはしらん。

 EWFをいちばん聴いていたのは中学時代です。
 なぜ聴いていたのかよくおもいだせません。さすがにリアタイでもありません。おそらくブックオフで適当にかってきたんだとおもいます。
 あの時分、ブックオフには夢がいっぱいでした。百円の文庫本も無数によんだ。
 いまはユーチューブを適当にながしたり、ブログをひろいよみする、というようなことがそれに相当してしまっていますが、財布に小銭をつめてブックオフに行く、という手続きになんともいえないときめきがありました。

 このアルバムをくりかえし聴いていた私は、どういう気持ちだったのでしょうか。
 やはり、よくおぼえていません。「全体的にエスパー魔美っぽくてかわいい」いまはおもっています。

 のちのち聴きなおすと、その音楽を聴きこんでいた時期の感情をあざやかにおもいだす、という話があります。
 私はこの歳になって、もう感情のほうはわすれてしまっているみたいです。
 ただ、音のよさがしみじみとくる。