悪貨は田中を駆逐する

ギターボーカルのタナカサトです

資源を大切に 売ったり買ったりする 田中のお店です

 「うん、遊んでたわけね」
 ひさびさに母にしかられた気がしました。実家にかえってもしかられなかったのに。
 いや、飲み会の前にちょっと時間あくというので、自宅によって新潟からとどいた中古のエレアコ検品しにいったら、その、遅刻してしまって。ははは。は。
 その節はたいへんもうしわけありませんでした。

 それが昨日のこと。そして一昨日も楽器がらみ。楽器店に寄ったのです。
 教ちゃんがErectribe Samplerがきになるというので、様子をみにいきました。私たちの世代に馴染みぶかい、ちょっとおもちゃっぽいアレではなく、現行のシュッとしたやつです。
 隣にErectribeがならんでたので私もさわりはじめたのですが、案の定ジャムじみてきて、いいかんじになり、てきめんにほしくなりました。パッドボコボコたたいてシンセの音だすのたのしいね。

 人はなぜ楽器を、あるいは機材を、かうのでしょうか。

 最近では、身体を拡張するためだとおもっています。そうです、マクルー飯です。おいしそう。

 わかいころは身体そのものがきらいであったため、身体から無限遠に距離をとるものだとおもっていました。つまり、人間をかんじさせないことをするためのデバイスでした。
 今では、自分の手足とか口角でコントロールできないコンポーネント(たとえば、サンプル&ホールドのLFOとか)があると、ちょっといらっとするというか、ゆうてこれどうすんの、みたいなことをおもってしまいます。べつにXotic Robotalkの悪口じゃないよ、なにしろもってるからね。

 口角とは、なんであったでしょうか。

www.youtube.com

 思わず口角の上がるハードオフシリーズ、第三話になります。第一話はこちら、第二話はこちらです。

 「バンドとかやってらっしゃるんですか?」
 「あー僕、普段ベースなんですよ

 この意味のないウソをついたとき、私のうすい胸には、もとい、ペットボトルふりまわし運動で無駄にきたえたそこそこ厚い胸には、なにが去来していたのでしょうか。

 田中には、ひとつの流儀がある。

 ポーン♪(ピアノ)

   個人情報を、タダでは売らない

 あの日あの時あの場所で。コソコソとVOX amPlug 中野梓モデルをかっていったギターがドヘタなおもしろおかしいキモヲタとして、へらへらと個人情報をのこしていかなければならないとすれば、それはなぜであったでしょうか。
 どうせ私の納得のいく理由など、ありはしないのです。
 私のたいせつな個人情報。
 心にきめたひとにだけ、あげたいの。

 ダミーの個人情報をおいていくことにしました。しました、というか口が勝手にウソをついていました。
 かさねてもうしあげますが、誰も得しないし、まったくなんの意味もありません。
 ただなんか、そういう自分をどうしてもおさえられなかった。僕はこの瞳で嘘をつく。思わず口角が上がる。

 「そうなんですねー!」
 「そうなんですよ、それでギターは全然でして」

 ウソです。毎日3時間ずつギターさわっていますが、全然なのです。全然の天才なのです。

 「ベースはどういうの使ってるんですか?」
 「あ、ベースはですね、ジーエルですね、あのー、国産のやつなんですけど、L-2500

 ウソです。これは事実として、たしかに私はどちらかというとベーシストだったことがありました。その時代の名残として、Fender Japanの5弦のジャズベ、Bacchusの5弦フレットレス、従兄に組んでもらったプレベ、よくわからないプレベ風のビザールベース、などを所有していますが、L-2500にかぎってはもっていません。ほんとうに自分でも意味がわかりません、なぜこんなウソをついてしまったのでしょうか。
 なお、国内製造のG&Lにかんしては、S-500ならもっています。つまり、ギターです。あれはいいものでした。楽器屋で一度みかけられたらわすれられない銀ラメボディ・ミラーPGという出オチ仕様。
 学生時代、アンプの電源をきっておくタイプのギタボをやっていた折にメインでつかっていました。いまは実家でねむっています。

 「いいですよねG&L! えっバンドはどんなのやってらっしゃるんですか?」
 「あ、あのまあ、プログレというか」

 ウソです。プログレELPくらいしかききません。逆にいうとELPだけは聴いています。Trilogyをきくと高校のころの彼女をおもいだします。
   たてつづけに、活動ペース、どのあたりを活動拠点にしているのか、など聴取されました。
 いま参加しているバンドは準備中だが、かつてまったく違う音楽性であった頃には今はなき高円寺20000Vなどに出演し、今をときめくクリープハイプと対バンしたこともある、などという話を、僭越ながら若干のドヤ顔でぼそぼそとさせていただきました。
 ウソ、ではありません。ギターが上達しない才能はあるものの、詐欺師の才能はなかったようです。ここらで虚偽報告の泉がかれました。
 ウソっぽい、といえば、このくだりが一番あからさまにウソっぽいのですが、事実です。当時の音源がweb上にのこされていないだろうか、と、メンバーどうしのメールをほりかえしていて、最近発覚したことです。
 ただ、私たちは対バンの出番中は表で酒をのんでいるのが常だったので、当時の尾崎さんがどういうライブをしていたのかまったくしりません。どうもこういうところで人生の明暗がわかれているきがしてならない。

 店員のねえさんは以前はイシバシ楽器の某店におり、あの西川進さんの接客をさせていただいたことがある、彼はとてもいい人だった、などとかたってくれました。
 それはなかなか興味ぶかいことであるなと、私としてもとじた心の蓋をすこしばかりひらきはじめたところで、
 「私もですね、音楽やらせていただいてまして。前はバンドでやってて、いまはソロなんですけど」
 こまかい事情は失念しましたが、おおむねそのようなことをおっしゃって、ご自身の音楽活動の宣伝をされました。
 なるほど、レジ奥の壁に彼女の勇姿がうつされたフライヤーなどがはってあります。

 なにかすこしでもおぼえていたらいまここで宣伝に貢献しようとおもったのですが、なにからなにまでガチわすれしてしまいました。フルネームがひらがなでつづられていた、ようなきがします。
 まじでごめんなさい、ひと文字もおもいだせません。ほないこかさんでなかったことはたしかです。

 東京のどこかで彼女にあえたら、応援してあげてください。いい子でした。

 私もうあの店いけない。