悪貨は田中を駆逐する

ギターボーカルのタナカサトです

朝まで生田中!

 亡霊とは、なんであったでしょうか。

 砂糖鳥――私がボーカルギターとして参加する3ピースバンド――のメンバーは、度肝をぬかれたことかとおもいます。
 解散した私の過去のバンドのDropboxから、共有フォルダの招待メールがとどいたからです。

 まえのバンドの解散。修羅でした。
 メンバーどうしには、ただならぬ緊張、軋轢が生じていました。
 「おまえはわかさだけしかない人間だし、それが通用するのはせいぜいあと3年だ」「おまえの曲をかっこいいとおもったことはいままで一度たりともない」
 対立は沸点をこえてののしりあいに発展し、逆上した私はバンドがつかっていた全インターネットサービスのパスワードを変更してメンバーからアクセス権を奪取した上、無断で削除するという挙におよびました。
 おこらせるとなにをするかわからないのです。やることがちいせえ。

 メールアカウントとDropboxだけは、外部に公開していないので、削除する必要をかんじず、放置していました。
 最近はそれをサブアカウントとして私的に流用しはじめました。やることがせこい。

 ときはうつろい、私はしょうこりもなく、あたらしいバンドを結成することになります。
 さげているだけではなく、きちんと音のでるタイプのギターボーカル。ようするに、一般的なギターボーカル。それを、はじめてになうことになりました。
 そのバンドに私は、砂糖鳥となづけました。

 砂糖鳥のリハーサルの記録は先日まで、ベーシストぶんちゃんがひとりで担当してくれていました。
 つまり、彼のiPhoneの「ボイスメモ」に録るのです。録音物はその場で間髪いれずにLINEグループに共有。
 この方法はその日のリハを帰路でチェックできるという即時性があり、実際すてがたいのですが、リハの記録としては、録れ音の分離がわるすぎるという欠点もありました。

 そこでひとつ提案をし、私のZOOMのハンディレコーダーを併用することになりました。後日じっくり鑑賞するための録音として、ここに高音質のデータのこしておきます。
 この録音、およびアーカイブは、私が担当することになりました。

 ゆうべの私は、はりきって水曜日夜のリハ音源を整理していました。
 私は優秀なので、5分間のセッションをまるまる誤削除するというしんじられないミスもやらかしましたが、1時間強の録音を12のトラックにわけ、聴きやすいかたちにまとめることができました。
 mp3に圧縮し、内容がある程度わかるようにタイトルをつけ、調子にのってアートワークも追加し、アルバムの体にしあげてDropboxにアップロードし、共有しました。
 このように記録作業に時間をついやしたことは、かつてのバンドでは一度たりとてありませんでした。だいたい、録音など二度ときかなかったのです。
 しかし今回のバンドにかぎっては、折にふれてプレイバックしては、悦にいったり、忸怩たるおもいにかられたり、闘志にもえたり、しています。

 亡霊とは、なんであったでしょうか。
 それは記憶と、因縁です。

 ぶんちゃんと、5ピースでくんでいたバンドがありました。
 おおむかしのことです。
 そのバンドのメンバーと逐電するようなかたちで結成したのが、先にのべた、大喧嘩により解散したバンドなのでした。

 VOX big bad wahを注文したのですが、ごめん息するようにいきなり機材の話はじまってびっくりしたでしょ、これはジョー・サトリアーニシグネイチャーモデルです。
 私がジョー・サトリアーニというギタリストを意識するようになったのは、その5ピースバンドのギタリストが、サトリアーニに心酔していたからです。

 そして、今夜はまた、セッションに顔をだします。
 教ちゃんと、今夜は趣向をかえて、彼の新兵器であるKORG microsamplerと、私の新兵器YAMAHA APXT-1、超小型のエレアコですが、この実験的なあわせです。
 彼と私をひきあわせたのも、やはり前述のにっくき元メンバーなのです。

 亡霊たちは、私のなかになお、いきています。私にとってのそれが死ぬときは、つまり、私の命がついえるときでしょう。
 私はそれをおそれることも、いとうこともありません。
 そして、わるいけれど、感謝することも、おもいだすことすら、こういった機会にしか、ありません。
 縁よりたいせつなものを、いまの私はしっているのです。

 ぬけがらのDropboxにあらたにふきこまれた私たちの音は、生きたバンドにしかだせない音です。

www.youtube.com

 big bad wahはよとどかないかな。

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